実家のFUJITSU FMV-C301のHDDから「カリカリカリ……カシャーン」と異音が出始めて数日。Dドライブのフォルダーにアクセス制限がかかり、フォルダーを開くことすらできなくなりました。困り果てて懇意にしているIT屋にFMV-C301を持ち込むと、「あ、これはハードディスクが駄目です。データを吸い出せるかどうか」と言われてしまったのが2016年11月11日のことです。
FMV-C301を開腹してHDDを抜き取り、HDD内のデータを吸い出すことができるアプリケーションがインストールされているPCにHDDを直結して中を覗くと、ファイル群は一応見えます。しかし、吸い出してみるとファイル容量が0です。IT屋のY氏が「もう少しいじらせて下さい」と言うのでPCを預けて11日は撤収しました。
翌2016年11月12日にY氏から「データ取り出しできました」と私にメールが届きました。相場よりゼロが一つ少ない技術料請求でした。それを聞き、「XPを直して使う」と父。Y氏が「セキュリティーに問題があり、サポートも打ち切られているOSを使うのは危険なので、これを機会にPCを買い換えることをお勧めします」と諭しても「XPを直します」と頑として父は譲りません。
こんな事情を私の知人・T氏にこぼしたところ、「Windows 10のPCを貸してあげるよ。Windows 10がどんなものか試してみて、それからWindows XPマシンを直すかPCを買い換えるか判断ればいい。それでもXPがいいなら送り返してもらって構わない」と彼。
代替機@Windows 10(ASUS ET1611PUT)が届いたのは11/20でした。IT屋のY氏が吸い出したデータが入ったUSBメモリから、借り物のPCにデータをコピーするなどしていても「XPが、XPが」と父は繰り返しています。「何度リスクが高いと言ったら分かるんだ」と詰め寄ると、「カネは5万までしか出せない。今までウイルスが付いたメールが届いたことはない。怪しげなホームページは見ない。だから大丈夫だ」と父。「どういう理屈だよ」と思いましたが、「使うのは俺じゃないから好きにしろ」と私は父に伝えました。
さて、翌日の朝。徹夜でデータの整理・復旧・PCのセットアップをしていた私に、「『四川省』はどうなった?」と父が尋ねてきました。「HPを見ると『Vista対応』とまでしか書かれていない」と答えると、「XPを直して使う」と父。「要するに『四川省』がやりたいんでしょ?」と母。父は黙っています。「ゲームがやりたい一心でWindows XPマシンに固執していたのか」と唖然としました。
「四川省 for Win Ver2.13」については公式サイトを見て頂きたいのですが、このゲームは麻雀牌の「二角取り」をするものです。FMV-C301を使っていた頃、風呂に入る時間をも忘れ、父は毎日二時間以上「四川省」に没頭していました。
「ウィルス感染とか不正アクセスのリスクを無視してでも『四川省』をやりたいんだ?」と私が言うと、「あと数年で死ぬんだから新しいサーバーは要らない。サーバーを買い換えるにしても5万以上出せない。もちろんワードとエクセル込みでだ」と父(筐体の大小はあれ、父はタワー型のPCを「サーバー」と呼ぶ)。とにかく「四川省 for Win Ver2.13」だけは外せないようです。
で、「『四川省』で遊べないからWindows 10搭載PCに乗り換える気がないんだとさ」と、ASUS ET1611PUTを貸してくれたT氏に私は漏らしました。「それ、どこにあるの?」と聞かれたので、「『Windows』・『四川省』でググるとトップに出る」と私。「どれどれ」とT氏。「Windows 10って、MS-DOS時代のバイナリ走るよ? やりかた教えるからダウンロードしてみて」と言われたので早速落としてみました。
「四川省」はリンクを踏むと、実行ファイルの「Sisen213.exe」がダウンロードされる仕様です。とりあえずT氏に言われた通りASUS ET1611PUTにある「ダウンロード」フォルダに「Sisen213.exe」を保存しました。
「展開してみて」とT氏に言われたのでダブルクリックして展開してみました。「『互換性が云々』って言われるでしょ? 黙って進めて」みたいなことを言われ、言われたようにダブルクリックしてみると「Sisen213.exe」のインストールが始まりました。「デスクトップにショートカットができたでしょ? ダブルクリックしてみて」とT氏。言われた通りショートカットをダブルクリックすると見事に「四川省」が起動しました。午前中に用事がある私は、ここで寝ることに。
さて、8:30に起床した私は、母に「『四川省』、Windows 10で動いた」と伝えました。「じゃぁ、お父さんは借りてきたパソコンを買い取るわね」と母。「『四川省』、借りたパソコンで動いたよ」と言うと、「そうか!」と父。
さて、用事から戻った私が「オヤジがPCで何かやってるな」と思って見ると、父は「四川省」で遊んでいます。「お風呂が沸いたよ」と母が言っても「今、頭の体操中だ」と言って「四川省」。「パソコンはツールに過ぎない。お父さんは『いかにパソコンに触れずに日々を過ごすか』を考えている」と偉そうなことを言っている割に、毎日ゲームに夢中なのです。
「『四川省』が動くパソコンが欲しいんだろ? このWindows 10のパソコンで動いてるじゃん。長期間のサポートが期待できて、Microsoft Word・Excelコミコミのパソコンを知り合いが5万で売ってくれると言ってるんだ。俺に恥をかかせないでくれ」と言っても「11/30に判断する」と父は主張するのみです。
「処置なし」と思っていると、「どう?」とT氏から連絡がありました。「親父が判断を留保しているんで11/30まで待って欲しい」と頼むと、「いいけど、一からWindows XPをインストールして、対応するドライバ探すには最低でも半月かかるよ? 業者に頼むと元のように動かすには技術料10kと、XPの諸々の設定に20kかかると言っておけ」と彼。
私は長期間実家に詰めてASUS ET1611PUTのセッティングに時間を割くことができる身ではありません。知人のT氏には「お前にWindows XP SP3のインストールは無理」と断言されました。確かに私はMacintoshの知識は多少ありますが、Windows PCの知識は浅いです。果たして以前の状態に復帰できるのでしょうか?
Windows PCの中古の相場は分からないのですが、「四川省 for Win Ver2.13」が走る、最新のOS・アプリケーションを搭載したマシンがわずか5万円で手に入るのです。これに飛びつかない手はないのですが、PC音痴、かつ、それを自覚していない親父のモノの考えかたは一般人とずれているのでどう転ぶか分かりません。今となっては11/30まで待つしかないのでしょう。